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ギリシャ「最悪シナリオ」消えず、緊縮策が打撃とエコノミスト 2012年02月22日

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZR0ES07SXKX01.html

2月21日(ブルームバーグ):ギリシャは第2次救済を確保し差し迫ったデフォルト(債務不履行)の脅威から逃れたが、これでリスクが去ったわけではないとエコノミストらはみている。

  7カ月の紆余曲折の末、欧州は21日未明に1300億ユーロ(約13兆7000億円)規模の救済を決定。3月のデフォルトを回避した。ギリシャは緊縮財政と経済改革の実行を約束。同国の債務を2020年に国内総生産(GDP)の120.5%と昨年末の160%から減らすことが目標に据えられた。

  民間投資家と中央銀行もギリシャの債務圧縮に協力する。しかし、シティグループやコメルツ銀行のエコノミストらはギリシャが再び目標達成に失敗するとみている。5年に及ぶリセッション(景気後退)や近く行われる総選挙、社会不安が政府の計画実行を妨げるリスクがある。結果的に支援を引き揚げられ、年末までに再び、ギリシャへの追加支援が得策かどうかの議論が始まることが懸念される。欧州当局が他の国への危機拡大の阻止へと軸足を移すことでギリシャ救済の必要性が薄れることも考えられる。

  ケビオット・アセット・マネジメントのパートナー、デービッド・ミラー氏は「救済の包帯は巻かれたが、これがほどけるのに時間はかからないだろう」として、「ユーロ圏はギリシャが約束を実行するためできる限りのことをしたが、債務圧縮が逆戻りする余地は相当大きい」と話した。

          年内にユーロ離脱も

  欧州当局者らは危機拡大の阻止に向けて整備する救済基金について、恒久的基金が稼働し暫定基金と並存する7月に7500億ユーロ規模とする可能性を示唆した。現在計画している5000億ユーロから拡大させる。

  ギリシャは新規支援の条件として、年金と最低賃金、医療・保健支出、国防費を削り、公務員を削減するとともに資産を売却することを約束した。既に20%を超える失業率の下で、こうした緊縮策の実施は事態の悪化につながる恐れがある。

   ベレンベルク・バンクのエコノミスト、クリスチャン・シュルツ氏は「ギリシャが恐慌に陥り結局デフォルトしてユーロ圏離脱を余儀なくされるリスクはまだ大きい」と指摘。キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジェニファー・マキューン氏も年末までにギリシャがユーロ圏を去るとの予想を維持している。

  ギリシャの債務が想定どおりに減らないリスクは欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)も認識し、報告では2020年の債務の対GDP比が160%という最悪のシナリオも示している。

         6月にも目標外す

  シティのエコノミスト、ギヨーム・ムニュエ氏は、同報告はギリシャが約束を実行する困難を示していると指摘。早ければ6月にも赤字水準の目標から外れ、年内に「調整された全面的デフォルト」を準備しなければならない可能性があるとの見方を示した。

  コメルツ銀行のチーフエコノミスト、イエルク・クレーマー氏も、ギリシャの改革進展ペースにいら立つEUが「今年7-12月(下期)にギリシャ支援資金の支払いを停止する確率は相当高い」とみている。

ギリシャ:第2次救済を獲得、「デフォルトより支援」が欧州の選択 2012年02月21日

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZQ3CA6JIJUT01.html

2月21日(ブルームバーグ):重い債務に苦しむギリシャは第2次救済を獲得した。欧州各国政府は民間債権者からの譲歩を引き出すとともに、欧州中央銀行(ECB)のギリシャ債売却益を活用する包括案で合意。前例のないユーロ圏国のデフォルト(債務不履行)という事態を回避した。

  ユーロ圏財務相らは20、21日にかけ夜を徹した会議で、1300億ユーロ(約13兆8000億円)の第2次支援を決定した。ECBの利益移転を取り決めたほか、ギリシャが来月の国債償還を乗り切れるよう債務減免交渉で民間投資家の一段の譲歩を得た。

  この合意に基づく救済の成否は、ギリシャ国債保有者が債務交換に応じるか、ギリシャがさらなる緊縮策に耐えられるか、救済反対の世論の逆風の強い北部欧州諸国での議会承認の関門をくぐれるかにかかっている、

  ベルギーのファンアケレ財務相は13時間半にわたった財務相会合の後、記者団に対し、「今が正念場であることを誰もが理解していた」と語った。

  国際通貨基金(IMF)などの査定により、ギリシャの債務は2020年時点で国内総生産(GDP)比129%になると推計された。今回の合意は、ギリシャ向け融資の金利引き下げや民間債権者の負担拡大、各国中銀の支援によってこの比率をIMFが持続可能とする120.5%に押し下げる。

  民間債権者を代表する国際金融協会(IIF)は昨年10月に、ギリシャ債の額面の50%減面に同意していた。一段の負担を求めるため、ギリシャのパパデモス首相はブリュッセルで債券保有者との交渉を主導。53.5%の減免の合意を得た。IIFはこの合意を加盟銀行団に提示する。

  各国政府はECBのギリシャ国債購入によって生じた利益の分配を受け、これをギリシャ支援に充てることで合意した。各国中銀が投資勘定に保有するギリシャ債からの将来の利益も救済資金の一部となる。ECBのドラギ総裁は「優れた合意」と評価。「成長と安定を取り戻すための行動を取るギリシャ政府の決意を歓迎する。ギリシャを成長と雇用創出の軌道に戻すための支援を続けるユーロ参加国の意思も歓迎する」と述べた。

  ギリシャ救済合意に加え、欧州当局者らは将来の危機に向けて整備する救済基金についても、恒久的基金が7月に稼働し暫定基金と並存するのに合わせて7500億ユーロに拡大させる可能性を示唆した。現在は5000億ユーロと計画している。

  ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相)は3月1、2両日の首脳会議で「ユーロ圏のファイアウオールの相当な強化」を発表できるとの見通しを明らかにした。ドイツは救済基金の上限引き上げに対する反対姿勢を軟化させた。

  ただ、IMFと欧州当局がとりまとめたギリシャに関する報告は、ギリシャの債務削減が想定通りに進まないリスクも指摘。2020年の債務の対GDP比が160%となる最悪のシナリオも示している。

アイスランドを投資適格級に格上げ、改革進展を評価-フィッチ 2012年02月18日

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZJWZ80D9L3501.html

2月17日(ブルームバーグ):格付け会社フィッチ・レーティングスは17日、アイスランドの格付けを投資適格級に引き上げた。フィッチは、アイスランドの大手3銀行が2008年に破たんした後に講じた一連の措置が金融市場の安定と経済成長の回復に寄与した点を評価した。

フィッチの発表資料によると、同社はアイスランドの発行体デフォルト格付け(IDR)を「BB+」から「BBB-」に引き上げた。見通しは「ステーブル(安定的)」とした。

フィッチのシニアディレクター、ポール・ローキンス氏は格上げについて「マクロ経済安定に向けた回復過程の中でアイスランドが成し遂げた進展を反映したものだ。2008年の銀行業界・通貨危機以来、同国は構造改革を進め、信用回復に努めてきた」と説明した。

シグフスソン財務相はインタビューで、「短期間でアイスランドにさらに高い投資適格級が付与されることを望む」と述べ、「アイスランド経済の強さを見れば、さらに高い格付けが十分相応だと分かる。アイスランドの格付けはまだかなり過小評価されている」と続けた。

また、シグルザルドッティル首相はブルームバーグに対しテキストメッセージを送信し、「これはアイスランドが正しい軌道にあることを世界に示す非常に明るい、また重要なメッセージだ」と述べ、「今回の格上げが国内および海外投資家のアイスランド経済の可能性に対する信頼を強め、行動を起こすよう人々の楽観や勇気に働きかけることを期待している」と語った。

日銀:物価上昇「1%」目指す-資産買い入れ基金を65兆円に増額 2012年02月14日

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZD7S86JTSEB01.html

2月14日(ブルームバーグ):日本銀行は14日開いた金融政策決定会合後、物価政策について「当面、消費者物価(CPI)の前年比上昇率1%」を目指すとした上で、「それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」と表明した。金融政策運営については、資産買い入れ等基金を「55兆円」から「65兆円」に拡大することを全員一致で決定し、追加緩和に踏み切った。

  日銀は同日の会合で、資産買い入れ等基金のうちリスク資産などの買い入れを「20兆円」から「30兆円」に拡大、増額分はすべて長期国債を対象とする。固定金利方式の共通担保オペは「35兆円」に据え置く。日銀は従来の「中長期的な物価安定の理解」を「中長期的な物価安定のめど」に変更。CPI上昇率で「2%以下のプラスの領域」で、「当面は1%をめどとする」としている。

  米連銀が物価上昇率のゴールとして2%を明示するなど、新たな市場との対話を打ち出したことなどから、日銀に対してデフレ脱却に向けてより強力な施策を求める声が強まっていた。

  昨年10-12月の実質国内総生産(GDP)は前期比年率2.3%減と2期ぶりのマイナス成長となった。消費税率引き上げをめぐる論争が続いている国会では、デフレ下の増税に対する拒否感から日銀への批判が高まっており、答弁する白川方明総裁に対して激しいやじが投げつけられる場面もあった。

          FRBが新しい市場との対話

  総合的な物価指数であるGDPデフレーターは前年同期比1.6%低下と9四半期連続のマイナスとなった。古川元久経済財政担当相は13日の会見で「デフレ脱却に向けて、今まで以上に断固たる姿勢で取り組んでいきたい」と表明。日銀に対して「必要に応じて適切、果断な金融政策運営を期待したい」と述べた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)は1月25日の連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で、長期的な物価目標(longer-run goal)としてPCE(個人消費支出)価格指数の前年比2%を明示するとともに、これまで「2013年半ばまで」としていた異例の低金利を続ける期間、いわゆる時間軸を「14年終盤まで」に延長した。

  東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは会合終了前、「日銀の経済・金融市場に関するこれまでの説明との整合性で考えると、欧州問題への懸念はあるものの、円高圧力が一服していることもあり、2月会合は現状維持となる流れだ」とみていた。

  一方で、「2月6、7日の参議院予算委員会における白川総裁に対する野党議員を中心とする非難、やじは凄まじいものがあった。FRBと比較して『日銀はゼロ金利以外に何もしていない』という批判や、総裁に辞任を求める声、日銀法改正協議をにおわす発言も聞かれた」と指摘。「そういった政治サイドの激しい批判を無視することのリスクを警戒して、日銀が追加緩和を選択する可能性は、メインシナリオではないが、数割あると思われる」としていた。

          景気は「横ばい」据え置き

  日銀は資産買い入れ等基金の増額を今年末めどに完了する。現在の残高は43兆円程度で、今回の増額分と併せ、今年末までに残高は22兆円程度増額する。日銀は景気判断については「横ばい圏内の動き」として前月から据え置いたが、先行きについては「欧州債務問題の今後の展開やその帰すう、電力需要の動向や円高の影響など、引き続き不確実性が高い」としている。

  金融政策決定会合の結果を受けて、円は対ドルで1ドル=77円60銭前後から一時77円96銭と、1月25日以来の水準まで下落。対ユーロでは1ユーロ=102円ちょうど付近から一時102円63銭まで値を切り下げた。白川総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は3月16日に公表される。

ムーディーズ:イタリア、スペイン、ポルトガルなど6カ国格下げ 2012年02月14日

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZCTEB6K514801.html

2月13日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、イタリアとスペイン、ポルトガルなど欧州6カ国の格付けを引き下げ、英国とフランスの「Aaa」格付けの見通しを「ネガティブ(弱含み)」に変更した。

  発表資料によると、ムーディーズはスペインを「A1」から「A3」に、イタリアは「A2」から「A3」に、ポルトガルは「Ba2」から「Ba3」にそれぞれ格下げした。これら3カ国の見通しはいずれもネガティブとした。スロバキアとスロベニア、マルタの格付けも引き下げた。

  ムーディーズは「ユーロ圏の財政・経済の枠組みの機構改革の見通しの不透明感」と、危機対応で利用可能な資金の問題などを格下げ理由に挙げた。

  同業の米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先月の欧州9カ国の一斉格下げでフランスとオーストリアの最上級格付けを引き下げたが、その後も両国を含む国債に投資家の資金は向かっている。

  ムーディーズはこの日、オーストリアの格付け見通しもネガティブに変更した。マルタは従来の「A2」から「A3」に格下げし、見通しをネガティブとした。スロバキアとスロベニアは共に「A1」から「A2」に下げ、見通しはネガティブ。

市場の信頼感

  同社はさらに「欧州のマクロ経済見通しが一段と悪化し、各国の財政緊縮プログラムの実施と競争力向上に必要な構造改革を脅かしていること」も要因だと説明。これらの要因は引き続き市場の信頼感に影響を及ぼす見込みで、「圧力を受けている国と銀行の資金調達の条件にさらなる衝撃が加わる可能性が高いことから、市場の信頼感は弱い状態が続く公算が大きい」と分析した。

  1月13日にS&Pの最上級格付けを失った以降のフランスとオーストリア国債のリターンは、「AAA」格付け社債を上回っている。米国債も昨年8月の1段階格下げ以降のリターンが、最上級格付け社債の最大3倍となっている。

「次はポルトガル」を意識する投資家、追加支援は必至との見方 2012年01月30日

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K16020120130?sp=true

[ロンドン 27日 ロイター] ポルトガルの株式と債券が売り込まれている。ギリシャの次はポルトガルで、追加支援なしにはデフォルト(債務不履行)は避けられないとの見方が背景だ。

欧州中央銀行(ECB)による巨額の流動性供給に支えられ、スペインとイタリア、アイルランドの借り入れコストが低下する一方で、ポルトガルの国債利回りは急上昇。破綻の影がちらつく状況となっている。

事態が急速な展開を見せたのは、2週間前のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるユーロ圏の一斉格下げだ。ポルトガルの格付けはギリシャ同様「投資不適格」とされ、当面は市場からの資金調達が難しくなったほか、今後の債務返済が厳しさを増す状況となった。

これ以降、ポルトガルの国債利回りと債務保証コストは容赦なく上昇している。

この状況はアイルランドと対照的だ。アイルランドは、ポルトガルが国際社会から780億ユーロの支援を受ける半年前の2010年11月に救済されている。

JPモルガンの金利ストラテジスト、Nikolaos Panigirtzoglou氏は「ポルトガルの国債利回りをみれば、2013年の債券市場への復帰は不可能だ。ポルトガルは依然、経常赤字の埋め合わせと返済で公的部門に依存しており、このことから今年第2次支援を受けることは間違いないだろう」と述べた。

ポルトガルの債券と株式は、同国が第2のギリシャとなり債務再編が必要となるとの観測を背景に、ユーロ圏の他の重債務国と比べてはるかにパフォーマンスが悪い。1月13日のS&Pによる格下げ以来、10年物国債利回りは3%ポイント上昇し15%に達している。これは同時期に過去1年余りで最低水準に低下したアイルランドのほぼ2倍に相当する。

<ギリシャとの類似点>

投資家が懸念するのは、ポルトガルの2年物と5年物の国債利回りがそれぞれ16.7%と20%で、長期債を上回っていることだ。これは昨年ギリシャが第2次支援を要請した時の状況と重なる。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの為替戦略担当責任者、サイモン・デリク氏は、同行のデータは過去1カ月間に長期投資家がポルトガル国債の売りを加速させていることを示していると指摘。格付けが投資不適格とされて以降に勢いが増した可能性があるとの見方を示した。

クレジット市場では、ポルトガルの債務返済能力に対する懸念の広がりが顕著に表れており、アイルランドとは対照的だ。ポルトガルの1年物と2年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムは、通常であれば下回るはずの5年物の水準を上回った状態が続いている。

スタンダード・ライフ・インベストメンツの投資ディレクター、リチャード・バティ氏は「ポルトガルの状況は非常に深刻で、市場はギリシャのようになるのか懸念を強めている。過去に十分な成長を遂げられずにきたのに、今のような環境でどうやって競争していけるだろうか」と述べた。

特に懸念されているのは、ギリシャ問題がポルトガルやより経済規模の大きなスペイン、イタリアなどにドミノ効果を及ぼすことなく食い止められるかどうかということ。ギリシャの巨額支援が決まってまだ間がないことも懸念の背景となっている。

<民間関与の債務再編か>

クレジット市場では、ポルトガルが今後5年でデフォルトに陥る確率は70%近いとみられている。

ロイターが銀行エコノミスト50人を対象にまとめた調査でも、ポルトガルがある時点で追加支援を必要とする確率の中央値は70%だった。50%を下回ると回答したのは10人にとどまった。

国内の財界団体のトップからは、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から300億ユーロの追加支援が必要との声も上がっている。

一部のアナリストは、ポルトガルは早くても2013年まで金融市場への復帰が望めず、国際社会からの追加支援が必要となることは明らかとみている。

ただ、ギリシャがそうであるように、追加支援でも問題の解決は見込めず、結局は銀行など民間債権者が「ヘアカット」(債務元本の減免)で多額の損失を受け入れざるを得なくなるとの見方もある。

シティのエコノミスト、マイケル・サウンダーズ氏は「最終的には民間部門関与の債務再編が必要となり、35%程度のヘアカットを迫られる」との見方を示した。同氏は、債務再編は2012年終盤か2013年初めとみている。

(Emelia Sithole-Matarise記者 Anirban Nag記者;翻訳 中田千代子 ;編集 山川薫)

S&P、ユーロ圏9カ国を格下げ 仏・オーストリア「トリプルA」失う 2012年01月14日

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK808010720120114

[ニューヨーク 13日 ロイター] スタンダード&プアーズ(S&P)は13日、ユーロ圏9カ国の格付けを引き下げ、フランスやオーストリアが最上級の「トリプルA」格付けを失った。一方、ドイツはトリプルAを維持した。

 フランス、オーストリア、マルタ、スロバキア、スロベニアの5カ国が1段階の引き下げとなり、ポルトガル、イタリア、スペイン、キプロスの4カ国は2段階の引き下げとなった。

 また、その他7カ国の格付けを再確認するとともに、当該16カ国のうちドイツ、スロバキアを除くすべての格付け見通しを「ネガティブ」とした。


 S&Pは、ユーロ圏の債務危機対策が不十分だと指摘。加盟国の経済競争力に歴然とした差があるという大きな問題が見過ごされているとし、「このため、財政健全化のみを柱とする改革は自滅的なものになりかねない。消費者の間で雇用と可処分所得に対する懸念が強まり、内需が減少し、税収の落ち込みにつながる」との見方を示した。

 欧州中央銀行(ECB)が緊急流動性対策を通じて市場の信認維持を図っていることは評価したものの、政府の対応については、「ユーロ圏において継続中のシステム上の緊張に完全に対処する上で不十分な可能性がある」と指摘。信用状況ひっ迫や種々のユーロ圏債券発行体に対する金利コスト上昇、経済成長の弱まりなどがユーロ圏を取り巻く緊張として挙げられると述べた。

 昨年12月9日の欧州連合(EU)首脳会議ではユーロ圏の経済統合強化に向けた新条約の草案策定に関して合意したものの、債務危機に歯止めをかけるべく一段と強力な措置が打ち出されるかどうかは依然不透明となっている。

 


 <EFSFへの影響>


 今回の格下げにより、ユーロ圏の借り入れコストは全般的に上昇する可能性が高いことから、債務問題はさらに深刻化しかねないとの懸念が根強い。

 また今後、欧州の大手銀行や企業、政府系機関が相次いで格下げされる恐れもある。このなかにはトリプルA格付けを持つ欧州金融安定ファシリティー(EFSF)も含まれるが、EFSFが格下げされることになれば、基金の借り入れコスト上昇や重債務国に対する支援能力の低下を招きかねない。

 S&Pソブリン格付け委員会のジョン・チェンバース委員長はロイターとのインタビューで、EFSFがトリプルAを維持するには、ドイツなど残されたAAA格の国がEFSFへのコミットメントを強化する必要があるとの見方を示した。

 同氏はCNBCテレビに対し、ドイツの格付けに対する主なリスクは、財政状況や金融セクターの問題の悪化だとの認識を示した。


 こうしたなか、ユーロ圏財務相は格下げを受け声明を発表し、ユーロ圏として財政規律強化に向けた新条約の合意に近づいており、救済基金の格付けを「トリプルA」に維持するべく全力を尽くすとの見解を示した。

 

 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのシニア為替ストラテジスト、マイケル・ウルフォーク氏は「欧州は今後も困難な状況が続く見通しだ」とした上で「ユーロ圏が将来的に政治的に統合されるのか、それとも経済的な統合にとどまるのかを含め、欧州首脳が決定を行う上で政治的支持が得られたと確信するまで、さらなる格下げや金利上昇の動きが予想される」との見方を示した。

 

 <フランスの格下げを最上級から引き下げ、ドイツより1段階下に>

 

 S&Pは、フランスの長期ソブリン信用格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げた。最上級に据え置かれたドイツより1段階低くなったことは、3カ月後に大統領選を控えたサルコジ大統領に打撃だ。

 S&Pは今回、フランスの短期ソブリン信用格付けの「A─1+」は据え置いた。またこれに伴い2011年12月5日に行ったフランスを格下げ方向で見直すクレジットウォッチへの指定を解除した。

 ただ長期ソブリン格付けの見通しは「ネガティブ」。これは、一定の条件下で2012年か13年に再び格付けを引き下げる可能性が少なくとも3分の1あることを示す。


 格下げを通知されたバロワン経済・財政・産業相は、サルコジ大統領や閣僚と緊急協議。また、S&Pが正式に発表する前に、テレビのニュース番組に出演し、格下げの影響を抑えようと努めた。

 バロワン経済相はフランス2テレビで、「1段階の格下げだ」と発言。S&Pは、ユーロ圏債務危機の一因であるガバナンスの問題で一部の圏内諸国を格下げしたと指摘した。

 さらに「明らかにこれは惨事ではない。言ってみれば、長い間、20点中20点の満点を取り続けている学生に19点をとったら惨事か、と問うようなものだ」と語った。


 S&Pは、フランスの格付けが引き続き、豊かで多様かつ耐久力のある経済、高度な技能と生産性を持つ労働力を反映するとしながらも、その強みが相対的に高い政府債務や労働市場の硬直性に一部打ち消されていると指摘した。

その上で、長期格付け見通しをネガティブにしたとし、フランス政府が財政再建計画から外れた場合や、ユーロ圏で資金調達・経済のリスクが高まり、その結果、偶発的債務が大幅に増加したり資金調達環境が著しく悪化した場合、再度格付けを引き下げる可能性があると警告した。


 フランスの格下げは、市場で以前から織り込まれており、エコノミストは政府の資金調達コストへの影響は限定的と予想するが、大統領選で再選を目指すサルコジ大統領にとって、このタイミングは最悪とみている。

 仏投資ファンドLutetia Capitalを率いるFabrice Seiman氏は「S&Pの措置は全く正しい。フランスは30年にわたる政府財政の無責任な運営に対する代償を払っている」とロイターに語った。


 野党各党からは一斉にサルコジ大統領の経済運営能力欠如を指摘する声があがった。

 大統領選でサルコジ大統領の筆頭対抗馬である最大野党・社会党のオランド前第1書記の側近はツィッターで「格下げはサルコジ政権が5年にわたり社会、経済、政治を地盤沈下させてきたことへの制裁だ」と指摘。

 大統領選に立候補している中道派のフランソワ・バイル氏はテレビ番組で「わが国の評価に悪影響を及ぼす国家主権の格下げであり、ドイツと比較した格下げでもある。欧州におけるわれわれの状況は象徴的にも政治的にも悪化することになる」と語った。

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